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「欧州の新型ロケット「アリアン6」日本時間7月10日未明に初打ち上げへ」 欧州宇宙機関(ESA)は日本時間2024年7月10日未明に新型ロケット「Ariane 6(アリアン6)」の打ち上げを予定しています。四半世紀以上にわたって117回飛行した「Ariane 5(アリアン5)」ロケット最後の打ち上げから1年、ヨーロッパの新たな主力ロケットの初飛行が迫っています。【最終更新:2024年7月8日14時台】Ariane 6は2023年7月まで運用されていたAriane 5の後継にあたるロケットです。機体構成は固体燃料ロケットブースター「P120」を1段目の側面に2基備えた「A62」と、4基備えた「A64」の2種類が用意されています。地球低軌道(LEO)への打ち上げ能力はA62が10.3トン、A64が21.6トン。静止トランスファ軌道(GTO)への打ち上げ能力はA62が4.5トン、A64が11.5トンとされています。ESAによると、Ariane 6の初号機はフランス領ギアナのギアナ宇宙センターから日本時間2024年7月10日3時0分~7時0分の時間帯に打ち上げられる予定です。上段(2段目)はまず高度700km×300kmの楕円軌道に投入された後に、エンジンを再点火して高度580kmの円軌道に遷移。ペイロードを放出した後に3回目のエンジン点火を行い、南太平洋へ制御落下されます。
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「宇宙環境での持続可能なものづくりに一歩前進? ESAが ISS初の金属3Dプリンタの実験に成功」 「持続可能性(sustainability)」という考え方が社会に浸透しつつある現代において、宇宙環境下でも持続可能性の追究が進んでいるようです。欧州宇宙機関(ESA)は、国際宇宙ステーション(ISS)で初めてとなる金属3Dプリンターの造形テストが欧州実験棟「コロンバス」において2024年5月30日に実施され、溶融したステンレス鋼でS字カーブを造形したと伝えています。実験に使用されたのはエアバスがイギリスのクランフィールド大学らと共同開発した金属3Dプリンターで、2024年1月31日に「シグナス」補給船運用20号機でISSに届けられました。関連記事・スペースX、ファルコン9でISSへのシグナス補給船運用20号機を打ち上げ(2024年2月2日)
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Manglende episoder?
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「月や火星で建物を“育てる”? NASAが菌糸体の利用を研究するプロジェクトに助成金を支給」 ベセスダ・ソフトワークスのRPGシリーズ「The Elder Scrolls(ジ・エルダー・スクロールズ)」には、テルヴァンニ家というダークエルフの大家が建物として利用している巨大に育てられたキノコが登場します。大きく広がった傘の下、くり抜いたキノコの柄の中に住むエルフと聞くといかにもファンタジーな世界観に思えますが、将来の有人宇宙探査では基地の建設などで菌類が活用されることになるかもしれません。アメリカ航空宇宙局(NASA)は2024年6月26日付で、将来役立つ可能性がある初期段階の研究に資金を提供する「NASA革新的先進概念(NASA Innovative Advanced Concepts: NIAC)」プログラムにて、NASAエイムズ研究センターのLynn Rothschildさんを筆頭とする研究チームが取り組んでいる「Mycotecture off Planet」をフェーズIIIのプロジェクトとして選定したことを発表しました。チームには将来の実証ミッションに向けて2年間で200万ドルの助成金が支給されます。【最終更新:2024年7月2日11時台】月や火星で有人探査を行うには、宇宙飛行士の生存に欠かせない酸素・水・食料をはじめ、探査活動に必要な機器類、一定期間の滞在に備えた居住施設や基地の建材といったさまざまな物資が必要になります。これらの物資をすべて地球から送り込むには相応のコストが掛かることから、現地に埋蔵されている氷を掘削して水や酸素を得たり、土壌を建材に利用したりすることで持ち込む物資の量を削減する「ISRU(In-Situ Resource Utilization、現地資源利用、その場資源利用)」技術の研究が進められています。
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「JAXAの先進レーダ衛星「だいち4号」アンテナ展開等を完了しクリティカル運用期間終了」 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2024年7月3日、「H3」ロケット3号機で打ち上げられた先進レーダ衛星「だいち4号(ALOS-4)」の太陽電池パドルとアンテナの展開などが完了し、打ち上げ後の初期段階であるクリティカル運用期間(衛星を運用する上で必須の状態に移行するまでの期間)を終了すると発表しました。【最終更新:2024年7月3日10時台】「だいち4号」は2014年5月に打ち上げられた陸域観測技術衛星2号「だいち2号(ALOS-2)」の後継機として開発されたJAXAの地球観測衛星で、「だいち2号」から能力が向上したLバンド合成開口レーダー(SAR)「PALSAR-3」、船舶自動識別装置(AIS)の信号を受信して船舶情報を取得する船舶自動識別信号受信器「SPAISE3」、静止軌道上の衛星と光衛星間通信を行うための低軌道衛星用光ターミナル「OLLCT」が搭載されています。2024年7月1日12時6分(日本時間・以下同様)に種子島宇宙センターから「H3」ロケット3号機で打ち上げられた「だいち4号」は、軌道へ投入されて間もなくJAXA追跡ネットワークの海外拠点で信号の受信に成功し、同日12時59分には太陽電池パドルの展開と衛星の太陽捕捉制御が正常に行われたことが確認されていました。
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「日欧共同の地球観測衛星「EarthCARE」雲プロファイリングレーダーの初観測画像が公開」 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と欧州宇宙機関(ESA)は2024年6月27日付で、1か月ほど前に打ち上げられた雲エアロゾル放射ミッションの地球観測衛星「EarthCARE」に搭載されている「雲プロファイリングレーダー(CPR)」の初観測で取得した画像を公開しました。【最終更新:2024年6月28日10時台】日本時間2024年5月29日に打ち上げられたEarthCAREは、ESAとJAXAが共同で開発し、運用する地球観測衛星です。日本での愛称は「はくりゅう(白龍)」です(※外観が白く、展開された太陽電池パドルが長い尾を連想させることから)。ミッションの目的は、気候変動予測の精度向上に貢献するための雲とエアロゾルの全地球的な観測を行うこと。観測機器は4つ搭載されており、そのうちの1つであるCPRはJAXAと情報通信研究機構(NICT)が共同で開発し、日本電気(NEC)が設計・製造を担当しました。こちらが今回公開された画像の1つです。日本時間2024年6月13日13時36分頃に日本の東海上にあった梅雨前線上の雲をCPRで捉えたもので、左は雲粒の垂直方向の濃度を示すレーダーの反射強度、右は雲粒の上下の動きを示すドップラー速度をそれぞれ示しており、気象衛星「ひまわり9号」の観測データを利用して3次元的に表現されています。JAXAによると、宇宙から雲の上下の動きを梅雨前線上の雲域で測定したのは世界初とされています。
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「中国の月探査機「嫦娥6号」が月の裏側で採取したサンプルは1935.3グラム」 中国国家航天局(CNSA)は2024年6月28日付で、地球へ帰還した中国の月探査機「嫦娥6号(Chang’e 6)」が月の裏側で採取したサンプルの引き渡し式を開催したと発表しました。発表ではサンプルの重さは1935.3グラムとされています。【最終更新:2024年6月28日12時台】嫦娥6号はCNSAによる月探査ミッションの無人探査機です。地球からは直接見ることができない月の裏側に着陸して周辺の観測を行うと同時に、スコップとドリルを使用して約2kgのサンプルを採取し地球へ持ち帰るサンプルリターンを目的としていました。2024年5月3日(日本時間・以下同様)に打ち上げられた嫦娥6号は5月8日に月周回軌道へ到達し、上昇機を載せた着陸機が6月2日に月の裏側にあるアポロ・クレーター(Apollo、アポロ盆地とも。直径約524km)南部への着陸に成功。6月6日には月面を離陸した着陸機と待機していた周回機がドッキングし、サンプルを移し替えられた帰還機が6月25日に内モンゴル自治区へ着陸することに成功していました。
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「JAXA、H3ロケット3号機の打ち上げ日を7月1日に再設定 だいち4号を搭載【追記あり】」 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2024年6月28日(日本時間・以下同様)、先進レーダ衛星「だいち4号(ALOS-4)」を搭載した「H3」ロケット3号機の打ち上げ目標日を2024年7月1日に再設定したことを発表しました。【最終更新:2024年6月28日14時台】H3ロケットは従来の主力ロケット「H-IIA」の後継機としてJAXAと三菱重工業が開発した日本の新型ロケットです。先進光学衛星「だいち3号(ALOS-3)」を搭載した試験機1号機による初飛行は2023年3月7日に実施されたものの、2段目エンジンに点火できず打ち上げに失敗。対策を施した試験機2号機はロケット性能確認用ペイロードと小型副衛星2機を搭載して2024年2月17日に打ち上げられ、小型副衛星の軌道投入と主衛星分離機構の試験に成功しました。関連記事・JAXA、H3ロケット試験機2号機打ち上げ成功 小型副衛星2機を軌道投入(2024年2月17日)・JAXA、H3ロケット試験機1号機打ち上げ失敗の原因究明に結論 再発防止対策を実施へ(2023年8月25日)
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「JAXA月探査機「SLIM」前回に続き5回目の越夜後も通信に応答なし」 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2024年6月27日(日本時間・以下同様)、X(旧Twitter)の小型月着陸実証機「SLIM」プロジェクト公式アカウントにて、5回目の夜を越したとみられるSLIMとの通信を試みたものの、電波は確認できなかったことを明らかにしました。【最終更新:2024年6月27日17時台】SLIMは2024年1月20日0時20分頃に日本の探査機として初めて月面へ軟着陸することに成功しました。ただ、2基搭載されているメインエンジンの1基で着陸直前に生じたトラブルによって想定外の速度や姿勢で接地することになったため、機体は太陽電池を西に向けて逆立ちしたような姿勢で安定しています。着陸直後に電力を得られなかったSLIMは一旦休眠状態に置かれましたが、太陽光が西から当たって太陽電池から電力を得られるようになった2024年1月28日以降は「マルチバンド分光カメラ(MBC)」による岩の観測が行われ、着陸地点が夜を迎えることから1月31日に再び休眠状態に入りました。MBCは月のマントルに由来するかんらん石(橄欖石)を含んだ岩の分光観測(電磁波の波長ごとの強さであるスペクトルを得るための観測)を目的としてSLIMに搭載された観測装置で、実際にかんらん石を示すデータが得られていたことが明らかになっています。
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「NASAが2030年で運用を終えるISSの軌道離脱用宇宙機開発でスペースXと契約」 アメリカ航空宇宙局(NASA)は2024年6月26日付で、2030年に運用を終える国際宇宙ステーション(ISS)を大気圏へ再突入させるための宇宙機「U.S. Deorbit Vehicle(米国軌道離脱機)」の開発を担当する企業としてアメリカの民間企業SpaceX(スペースX)を選定したことを発表しました。【最終更新:2024年6月27日11時台】1998年11月に最初の構成要素が打ち上げられたISSは、2024年で建設開始から26年、宇宙飛行士の長期滞在開始から24年を迎えます。NASAをはじめ、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)、ヨーロッパの欧州宇宙機関(ESA)、カナダのカナダ宇宙庁(CSA)、ロシアのロスコスモス(Roscosmos)が運用に関わるISSでは、地球・宇宙科学、生物学、人類生物学、物理科学、地上では行えない技術実証といったさまざまな実験が宇宙飛行士によって行われてきました。しかし、2011年に主な構成要素の組み立てが完了したISSでは、与圧モジュールからの空気漏れや太陽電池の発電能力低下といった経年劣化の影響がすでに現れています。2021年から2023年にかけて新型太陽電池アレイの増設が行われるなど対策は講じられているものの、ISSの運用は2030年に終了する予定です。
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「【速報】中国の月探査機「嫦娥6号」地球帰還 月の裏側からのサンプルリターンは世界初」 中国国家航天局(CNSA)は2024年6月25日(日本時間・以下同様)、月の裏側で採取したサンプルを搭載した月探査機「嫦娥6号(Chang’e 6)」の帰還機が地球へ帰還することに成功したと発表しました。月の裏側からのサンプルリターンは世界初となります。【最終更新:2024年6月25日15時台】嫦娥6号はCNSAによる月探査ミッションの無人探査機です。地球からは直接見ることができない月の裏側に着陸して周辺の観測を行うと同時に、スコップとドリルを使用して約2kgのサンプルを採取し地球へ持ち帰るサンプルリターンを目的としています。嫦娥6号は2024年5月3日に打ち上げられて5月8日に月周回軌道へ到達し、6月2日には上昇機を載せた着陸機が着陸目標地点であるアポロ・クレーター(Apollo、アポロ盆地とも。直径約524km)南部へ着陸することに成功。2日後の6月4日にはサンプルを収めた上昇機が月周回軌道へ戻り、さらに2日後の6月6日には待機していた周回機とドッキングして、上昇機から周回機に搭載されている帰還機へとサンプルを収めた保管容器を移し替えることに成功したと発表されていました。
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「NASAが火星サンプルリターンミッションの手法研究で7社の企業を選定」 アメリカ航空宇宙局(NASA)は2024年6月7日付で、欧州宇宙機関(ESA)と共同で進めている火星サンプルリターンミッションについて、火星で採取したサンプルを地球へ持ち帰る低コストかつ迅速な手法の提案を2024年4月に募集した結果、回答した民間企業のなかから7社を選定したと発表しました。【最終更新:2024年6月21日11時台】今回選定された企業は以下のとおりです(丸括弧内はNASAプレスリリースから引用した企業名および所在地と提案タイトル)。NASAによると、7社には90日間の研究を行うために最大150万ドルが与えられます。また、NASAやジェット推進研究所(JPL)、ジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所(APL)でも研究が行われています。
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「ボーイング新型宇宙船「スターライナー」地球帰還は6月26日以降の予定」 アメリカ航空宇宙局(NASA)とBoeing(ボーイング)は2024年6月18日付で、Boeingの新型宇宙船「Starliner(スターライナー)」による有人宇宙飛行ミッション「Crew Flight Test(CFT)」の一環として国際宇宙ステーション(ISS)に滞在しているNASAの宇宙飛行士2名について、日本時間2024年6月26日以降にISSを離れて地球へ帰還する予定であると発表しました。【最終更新:2024年6月21日14時台】StarlinerはSpaceX(スペースX)の宇宙船「Crew Dragon(クルードラゴン)」とともにNASAのCommercial Crew Program(コマーシャルクループログラム、商業乗員輸送計画)のもとで開発がスタートした有人宇宙船です。これまでに2回の無人飛行試験が実施されており、今回のCFTミッションは開発の最終段階となる有人飛行試験の位置付けです。アメリカ・フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地から日本時間2024年6月5日に打ち上げられたStarlinerは、日本時間同年6月7日にISSへドッキングすることに成功。Starlinerに搭乗していたNASAのBarry Wilmore(バリー・ウィルモア)宇宙飛行士とSunita Williams(スニータ・ウィリアムズ)宇宙飛行士はISSに滞在している第71次長期滞在クルー7名との合流を果たしました。
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「月の裏側に着陸した中国の月探査機「嫦娥6号」をアメリカの月周回衛星「LRO」が撮影」 こちらは月の裏側にあるアポロ・クレーター(Apollo、アポロ盆地とも。直径約524km)南部を月周回軌道から撮影した画像です。アメリカ航空宇宙局(NASA)の月周回衛星「Lunar Reconnaissance Orbiter(LRO、ルナー・リコネサンス・オービター)」の光学観測装置「LROC」を使って2024年6月7日に撮影されました。画像の幅は650mに相当します。NASAによると、画像中央には中国の月探査機「嫦娥6号(Chang’e 6)」が明るい点として写っています。嫦娥6号は中国国家航天局(CNSA)による月探査ミッションの無人探査機で、地球からは直接見ることができない月の裏側に着陸して周辺の観測を行うと同時に、スコップとドリルを使用して約2kgのサンプルを採取し地球へ持ち帰るサンプルリターンを目的としています。成功すれば月の裏側からのサンプルリターンは世界初となります。嫦娥6号は日本時間2024年5月3日に打ち上げられて日本時間同年5月8日に月周回軌道へ到達し、日本時間同年6月2日には上昇機を載せた着陸機がアポロ・クレーターへ着陸することに成功。2日後の日本時間同年6月4日にはサンプルを収めた上昇機が月周回軌道へ戻り、さらに2日後の日本時間同年6月6日には待機していた周回機とドッキングして、上昇機から周回機に搭載されている帰還機へとサンプルを収めた保管容器を移し替えることに成功したと発表されています。
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「アストロスケールの実証衛星が15年前のロケットの一部を50m手前から定点観測 画像&動画公開」 株式会社アストロスケールは2024年6月14日、同社の商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J(アドラスジェイ)」が観測対象のデブリから約50mの距離まで接近することに成功し、定点観測を実施したと発表しました。【最終更新:2024年6月18日15時台】ADRAS-Jはデブリ除去の新規宇宙事業化を目的とした宇宙航空研究開発機構(JAXA)の取り組みである「商業デブリ除去実証(CRD2)」の実証衛星です。CRD2は大型デブリへの接近・近傍制御と情報取得を実証するフェーズIと、大型デブリの除去を実証するフェーズIIの2段階に分かれています。ADRAS-Jは2022年3月にフェーズIの契約相手方として選定されたアストロスケールが開発と運用を担っています。日本時間2024年2月18日夜にRocket Lab(ロケットラボ)の「Electron(エレクトロン)」ロケットで打ち上げられたADRAS-Jは、観測対象である「H-IIA」ロケット15号機の上段(2段目、全長約11m・直径約4m・重量約3トン)への接近を開始。4月17日には後方数百mまで接近することに成功していました。H-IIA15号機は2009年1月に温室効果ガス観測技術衛星「いぶき(GOSAT)」の打ち上げに使用されたロケットで、同ロケットの上段は大型デブリとなって地球を周回し続けています。
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「宇宙の“化学”を明らかにする遠赤外領域望遠鏡「SALTUS」を欧米研究者合同チームが提案」 「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope: JWST)」に続く、新たな赤外線観測用の宇宙望遠鏡の実現が求められているようです。アメリカ航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙飛行センターをはじめとする欧米の研究機関による合同研究チームは、遠赤外線を観測するプローブクラスの宇宙望遠鏡「SALTUS(Single Aperture Large Telescope for Universe Studies)」を提案しました。SALTUSは主鏡の口径が14mに及ぶ宇宙望遠鏡で、波長34μm~230μmの光に対応する赤外線分光装置「SAFARI-Lite」と、波長56μm~660μmの光に対応する高解像度受信装置「HiRX」という、いずれも遠赤外線で観測を行うための2つの装置を搭載します。これにより、近赤外線〜中赤外線に対応したウェッブ宇宙望遠鏡や、赤外線よりも波長の長い電波(サブミリ波・ミリ波)に対応した「アルマ望遠鏡(ALMA)」の観測を補完する役割を担うのだといいます。
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「マクサーの地球観測衛星がISSを撮影 ボーイングの新型宇宙船「スターライナー」の姿も」 こちらはアメリカの民間宇宙企業Maxar Technologies(マクサー・テクノロジーズ)が公開したISS(国際宇宙ステーション)の画像です。アメリカの現地時間2024年6月7日に同社の地球観測衛星「WorldView-3」を使ってISSから276km離れた位置から撮影されました。公開された画像を見ると、日本実験棟「きぼう」や増設された太陽電池アレイといったISS各部の構成要素だけでなく、NASA(アメリカ航空宇宙局)の有人宇宙飛行ミッション「Crew-8」で使用されているSpaceX(スペースX)の宇宙船「Crew Dragon(クルードラゴン)」や、有人飛行試験ミッション「Crew Flight Test(CFT)」でISSに来訪したBoeing(ボーイング)の新型宇宙船「Starliner(スターライナー)」といった係留中の宇宙船や補給船の姿を確認することもできます。Maxarの衛星データ事業を担うMaxar Intelligenceは、地球の低軌道(高度200〜1000km)から静止軌道にわたって存在する宇宙物体の画像を撮影する非地球画像撮影(non-Earth imaging: NEI)をMaxarの衛星を使用して行っています。Maxarによると同社の衛星は6インチ(約15cm)未満の解像度で地球低軌道の宇宙物体を撮影することが可能であり、宇宙領域把握(Space Domain Awareness: SDA)、宇宙交通管理、衛星運用、それに国家安全保障に関わるミッションに対応できるということです。
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「ヴァージン・ギャラクティック、「スペースシップツー」7回目にして最後の商業宇宙飛行に成功」 アメリカの民間企業Virgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)は日本時間2024年6月9日未明、宇宙船「SpaceShipTwo “VSS Unity”(スペースシップツー「VSSユニティ」)」による同社7回目の商業宇宙飛行ミッション「Galactic 07」を実施しました。6名のクルーを乗せたVSS Unityは高度80km以上の宇宙空間(※)へ到達した後に、無事地上へ帰還したことが同社から発表されています。【最終更新:2024年6月11日14時台】Virgin Galacticによると、空中発射母機「White Knight Two “VMS Eve”(ホワイトナイトツー「VMSイブ」)」に吊り下げられたVSS Unityは、日本時間2024年6月8日23時31分(アメリカ山岳部夏時間同日8時31分)にアメリカ・ニューメキシコ州のスペースポート・アメリカを離陸。高度4万4562フィート(約1万3580m)で母機から切り離されると自身のエンジンで最大速度マッハ2.96まで加速・上昇し、準軌道飛行(サブオービタル飛行)を行った後の日本時間6月9日0時41分にスペースポート・アメリカへ着陸しました。最高到達高度は54.4マイル(約87.5km)とされています。今回のGalactic 07はVirgin Galacticにとって2024年1月に実施された「Galactic 06」に続く12回目、商業宇宙飛行としては7回目の宇宙飛行ミッションでした。また、今回は2023年11月の「Galactic 05」以来3回目となる“準軌道科学実験室”としてのミッションでもあり、推進剤の挙動を研究するための装置(パデュー大学)と微小重力環境下における新しい3D印刷技術をテストするための装置(カリフォルニア大学バークレー校)が搭載されました。
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「スペースXが大型ロケット「スーパーヘビー」着水の瞬間を捉えた動画を公開」 こちらはアメリカの民間宇宙企業SpaceX(スペースX)が公式Xアカウントを通じて公開した動画です。日本時間2024年6月6日夜に実施された同社の新型ロケット「Starship(スターシップ)」第4回飛行試験で使用された1段目の大型ロケット「Super Heavy(スーパーヘビー)」が、計画通りメキシコ湾の海上へ軟着水する様子が24秒間にまとめられています。動画では、上空から降下してきたSuper Heavyがエンジンを点火して減速しながら海面へ迫っていく様子を捉えた映像(※着水予定区域に設置されたブイのカメラで撮影されたものと思われる)に続いて、Super Heavy側のカメラで捉えた着水の瞬間を見ることができます。ちなみに、Super Heavyの全長は71mで、大型旅客機であるBoeing(ボーイング)777-300ER型機の全長73.9mとほぼ同じです。Starshipは1段目のSuper Heavyと2段目の大型宇宙船「Starship」からなる全長121mの再利用型ロケットで、打ち上げシステムとしてもStarshipの名称で呼ばれています。SpaceXによれば、両段を再利用する構成では100~150トンのペイロード(搭載物)を打ち上げることが可能であり、2段目のStarship宇宙船は単体でも地球上の2地点間を1時間以内に結ぶ準軌道飛行(サブオービタル飛行)が可能だとされています。
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「中国、月探査機「嫦娥6号」の上昇機と周回機がドッキング成功と発表 月の裏側のサンプルを搭載」 CNSA(中国国家航天局)は2024年6月6日、月の裏側で採取されたサンプルを搭載して月面を離れたCNSAの月探査機「嫦娥6号(Chang’e 6)」の上昇機と、月周回軌道で待機していた嫦娥6号の周回機がドッキングすることに成功したと発表しました。【最終更新:2024年6月7日12時台】嫦娥6号はCNSAによる月探査ミッションの無人探査機です。地球からは直接見ることができない月の裏側に着陸して周辺の観測を行うと同時に、スコップとドリルを使用して約2kgのサンプルを採取し地球へ持ち帰るサンプルリターンを目的としています。成功すれば月の裏側からのサンプルリターンは世界初となります。2024年5月3日(日本時間・以下同様)に海南省の文昌衛星発射センターから「長征5号」ロケットで打ち上げられた嫦娥6号は、5日後の5月8日に月周回軌道に到達。嫦娥6号を構成する周回機・着陸機・上昇機・帰還機のうち、上昇機を載せた着陸機は5月30日に周回機から分離し、6月2日7時23分に南極エイトケン盆地にあるアポロ・クレーター(Apollo、アポロ盆地とも。直径約524km)南部の目標エリアへ着陸しました。2日間かけてサンプルを採取した後、6月4日8時38分にはサンプルを搭載した上昇機が着陸機から離陸し、月周回軌道へ戻ることに成功したと発表されています。
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「スペースX、新型ロケット「スターシップ」第4回飛行試験実施 宇宙船の軟着水に成功」 アメリカの民間宇宙企業SpaceX(スペースX)は日本時間2024年6月6日、同社が開発中の新型ロケット「Starship(スターシップ)」による第4回飛行試験を実施しました。今回の飛行試験でStarship宇宙船は上昇飛行を完了して宇宙空間を慣性飛行した後に大気圏へ再突入し、海上へ軟着水することに初めて成功しました。【最終更新:2024年6月7日16時台】Starshipは1段目の大型ロケット「Super Heavy(スーパーヘビー)」と2段目の大型宇宙船「Starship」からなる全長121mの再利用型ロケットで、打ち上げシステムとしてもStarshipの名称で呼ばれています。SpaceXによれば、両段を再利用する構成では100~150トンのペイロード(搭載物)を打ち上げることが可能であり、2段目のStarship宇宙船は単体でも地球上の2地点間を1時間以内に結ぶ準軌道飛行(サブオービタル飛行)が可能だとされています。Starshipはアメリカ・テキサス州のボカチカにあるSpaceXの施設「Starbase(スターベース)」を拠点に開発が進められています。同社は2019年8月から2021年5月にかけてStarship宇宙船の大気圏内飛行試験をStarbaseで数回実施して帰還時の降下姿勢や着陸姿勢を実証した後、Super Heavyも含めたStarship打ち上げシステムの統合飛行試験を3回行いました。Super Heavyを分離したStarship宇宙船は高度100キロメートルを超えて宇宙空間に到達した後、第1回と第2回は発射1時間30分後にハワイ沖の太平洋へ、第3回は発射1時間5分後にインド洋へ着水する計画の下で行われました。
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