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リーダーになるのは、大体決まっているのだそうです。これは、動物の話なんですが、その群れのボスになるのは、体が大きいとか力が強い、という要素があるものの、その個体がもっている雰囲気なのだそうです。これは案外、人にも当てはまるような気がします。何となく真ん中にいる人っているでしょ。どんなに勉強ができても、リーダーに向いていないタイプっていうのも、経験上、理解しやすいところです。
世の中はリーダーになれる人を求めがちだけど、リーダーに向いていない人が、ダメだというわけではありません。補佐・参謀向きの人、交渉に長けている人、特筆するところはないのだけれど、人を魅了してリーダーになる人っているでしょ。ところが、もう一つ重要なのが、裏方に向いている人。これって、ものすごく大切。コツコツと業務の処理ができる人って、絶対重要。そういう人たちに支えられないと、表に立つ人も表に立てない。ところが、往々にしてここを軽んじる傾向にある。
アリだってハチだって、女王だけがいても繁栄しない。働きアリや働きバチが支えているから女王が生きられる。ところが、ここを無駄だという風に考える傾向が強い。生産性ということばで、何となく丸められている場合があるけれど、生産性を上げることは、無駄を省くことではあるのだけれど、ゆとりまで拭い去っていることがある。ゆとりと無駄を同一に見ていて混同しているからなんだよね。
働くということは、自分の労働・能力を時間で会社に貸しているとも言える。一人で働くようになると、労働も時間もごちゃごちゃになるし、表方も裏方も、全部自分でやらなければならない。この時になって、初めて裏方の意味がわかるようになる。
就活や転職をするときには、夢を抱くことは重要。それがポジションを得ることを目的とするのであれば、自らの力量を確認しておいた方がいいと思う。人間がすり減ってしまうからね。
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この番組では、就職・転職に役立つ内容、と言っているのですが、実は就職と転職というのは、意味合いが大きく違うんですよね。新卒での就職は、基本的に初めて働くということが前提になっているので、それまでの経験というのは、採用側としては、ある程度予想がつきます。ところが、転職の場合は、数年間社会に出ていたので働いたときの実績が問われてきます。
そのため、就活の場合は、いわゆる「伸びしろ」を企業は見ているんです。これを見定めるのは、ものすごく難しい。面接などでもしっかり準備して、そこをピークに持ってくるので、判断基準があってないようなものなんです。学生時代の成績は一つの判断材料になりますが、それと仕事とは必ずしもリンクしません。仕事は最終的に「人間性」だと思っています。しかし、これも確固たる判断材料がない。クラブ活動で主将をしていたとはいっても、うまくまとめられていたのかどうか、はいわば自己申告です。
その時にどう判断するか。一つには就活試験の論文を目安にします。伝えるべきことがしっかり書けているかどうか、を見ます。
ちょっと不思議な言い方をすると、採用した人の印象ってあまりないんです。当然、一緒にいるよね、という感覚なんです。むしろ採用のボーダーラインにいた人や採用できなかった人の方が、強く印象に残っていることの方が多いんです。「惜しいなあ」「ここを乗り切れればよかったんだけどなあ」と、採用の枠もあるので、あと一人採れるなら、という思いで、泣く泣く断念した人もいるんです。むしろ、その人の方が印象に残るんです。
転職の場合は、実績と今後の展望なんですが、実は、業績シートはさほど重要ではないと思っています。まったく業種の異なるところから転職する場合、過去の業績の内容ではなく、その仕事にどう関わってきたか、の方が重要です。僕は、そこを聞くようにしていました。業種が異なっていても、仕事の関わり方が一生懸命であれば、これからの仕事にも経験が生かせるからです。
やはり、社会人経験をどう将来に活かしていくのかが、上手くプレゼンできるか、に掛かっていると思います。転職はステップアップにならなければ、意味が無いからです。
ポジションとか役職が重要なのでは、そこでどういう働きをしていのか、が重要なんです。これは、異業種に転職する際も同様です。
僕の経験で言うと、文章でその人の論理性を見て、その人のまとう雰囲気で感性を推し量る、ことを意識していました。
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僕はあがることはほとんどないんですが、それでも若いときは、ちょっと自分の予想とは違う反応をされたときには、うろたえてしまったことがあります。
面接などであがってしまうのは、一つには自分を前に押し出すのが不得意だということがあるかもしれません。これを克服するには、場数を踏んで慣れるということも必要かと思うんですが、でも、そういう人が面接で失敗するかというと、そんなこともないんです。あがったとしても、自分の考えを伝えようとする姿は、面接担当者には伝わりますから。
それよりも、あがってしまう要因として大きいのは、準備不足だと思うのです。もちろん、準備していると思うんです。会社の資料を読んだり自分の考えをまとめたりしていると思うんです。ところが、資料の読み方が浅い場合が多い。一生懸命読み込んではいるのだけれど、面接担当者からの質問には答えられない。最初の一歩に躓くと、雪崩を打ったように崩れてしまう、というケースをよく見てきました。
実はこれって、準備ではなく用意なんです。「用意」はある物事を行うために必要なものなどをそろえるという意味です。それに対して「準備」は物事がうまく運ぶように前もって環境や態勢などを整えるという意味です。
つまり、資料を読んだだけなら、用意です。資料を読んだうえで、自分なりの意見を言えることが準備です。面接における想定問答集などが売られているかもしれないけれど、50も60も想定問答を考えたところで、全ての質問に答えられる訳がありません。そこから外れた質問が来たときに答えられるかどうかが勝負です。準備は、どこから質問をされても、自分の言葉で答えられるようにしておくことです。
会社に選ばれるという意識は拭えないと思いますが、一方の頭で、会社を選ぶという意識を持つべきだと思うんです。会社に合わせた答えを用意していたら、批判的に会社を見ることができません。批判的というのは、否定的とは違います。同業他社と何が違っているのか、それに対して自分は何を思い、どう考えるのか、ということを自分のことばで言えることが、準備なんです。
これができていないと、ちょっとした意見のズレに対応できなくなって、顔が真っ赤になって頭の中が真っ白という状態になりがちです。
面接担当者だって、パーフェクトじゃない。選ばれる側と選ぶ側は対等なので、必要以上に怖がる必要はありません。練習で泣いて試合で笑え、などと言いますが、準備の意味を改めて考えてもらいたいと思います。
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前々回にラジオネームみかんさんから頂戴したメールをもとに、「さまざまありがとうございます」の違和感について、お話ししました。
その後、みかんさんは、若手社員に話をし、その社員もご自身で調べて「なるほど」と理解してもらえた、と いうメールを頂戴しました。
よかったですね。若手社員にどう話すかは、みかんさんの力量が試される部分だったのですが、きっと上手に伝えられたのだろうと、ホッとしました。
というわけで、今回は「人をほめる」に焦点を当てたいと思います。「ほめ殺し」ということばがありますが、誰しもほめられて嫌な思いはしませんよね。ほめ上手は、コミュニケーション上手なんです。
大体、人は、結果をほめるんですね。テストで100点取ったとか、ノルマを達成したとか。でも、それって結果がでなければ、それまでの時間や努力を否定されてしまうことになる。
もちろん結果も大事です。しかし、結果が出せないで一番悔しい思いをしているのは、本人です。そこにかけた時間や努力は、上手くいったときとそうでなかったときと、さほど変わらないんです。たまたま、どこかのポイントがわずかにずれただけなんです。
だから、途中経過をほめることってとても大切なんだと思います。途中経過って、ほとんど人から見られませんもんね。だからそこをほめるのは難しい。
文章は、結果として出来上がった作品について、評価されます。でも、僕が開いているライティングセミナーに参加している人たちは、最初は書くのに精いっぱいだんです。
ところが、セミナーで、僕がいろいろコメントしたり内容を確認したりしていくと、書くときに考えるようになるんです。どうすれば文を簡潔にできるか、この表現でいいだろうか、と。
何度も修正すると、その軌跡が見えてくるんです。それがとても素晴らしい。それまで使わなかった脳を使えるようになる。そうすると、文章を書くのが楽しくなる。必然的に文章もわかりやすく、自分を表現できるようになる。これが、大事なんです。この課程を言語化っていうのだと思います。
自分を表現するために、自分を見つめ直し考える作業ができる。その課程をほめられる、という循環ができるんです。これは、会社で後輩を育てるときにも重要なポイントになる。途中課程を見てあげると、コミュニケーションも円滑にいくようになります。
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先週、ラジオネーム「みかん」さんから「さまざまありがとうございます」の違和感についてお便りを頂戴し、お答えしました。
なんと、きょうはそれに関連して「わざわざありがとうございます」と言う若手社員が結構いる、というお便りを「つみたてニーサン」から頂戴しました。いつもありがとうございます。
これも、「わざわざ」の持つニュアンスなのだろうと思います。「わざわざ」には、「何かのついでではなく、労力を惜しまないで特にそのためだけにするさま」とか「特別に」という意味があります。そのため、悪い意味はないんですよね。「わざわざ遠くまでお運びくださり、ありがとうございます」は、労力を惜しまず来てくれたことに対しての感謝になります。
ところが、「わざわざ」には、もう一つ「わざと」という意味もあるんです。たとえば「わざわざ勉強の邪魔をしにくる」というと「わざと」というマイナスの意味になります。この感覚が微妙に反映しているのではないかと思うんです。「わざわざありがとうございます」が素直な感謝ではあるものの、受け取りようによっては「余計なことをしてくれて、ありがとう」という嫌みにも感じるということだと思うんです。
長所・短所について、お話しした回でも「ことばには両面の意味がある。長所は短所にもなるし、その逆もまたしかり」ということを指摘しましたよね。
つまり、ことばには辞書が解釈している表向きの意味と、そこに含まれる奥深いところの意味がひそんでいる、ということなんだと思います。面接のときだけでなく日常生活でも、ちょっとした違和感があるときは、立ち止まって辞書を引いて、考えるということをするといいと思います。
ただ僕は、ことばの意味を限定したり、抑制的に使ったりするのは、少し考えものだと思ってはいるのですが・・・。
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新装開店してから初めて、ラジオネーム「みかん」さんからお便りを頂戴しました。ありがとうございます。今回は、「みかん」さんからのお便りをもとに考えていきます。
「みかん」さんのお便りを紹介します。「はじめまして、いつも楽しく学ばせていただいております。 最近入社してきた若い子が[様々ありがとうございます]という言い方をするのですが、この使い方にとても違和感を感じています。これは間違った言い方でしょうか?ご意見聞かせてください」という内容です。
採用担当者や会社関係者などにお礼をするときに、迷うかもしれませんね。たとえば、「いろいろ(色々)、ありがとうございます」だとどうでしょうか。「いろいろ」を辞書で見ると、「さまざまに。あれこれと」と書いてあります。つまり「いろいろ」と「さまざま」は、ほとんど同じ意味なんです。
ところが、「いろいろありがとうございます」には違和感はないけれど、「さまざまありがとうございます」には違和感が生じるんですね。
「いろいろな本がある」というと、数量に重きが置かれているんです。そのため、「いろいろありがとうございました」は、ありがたいことがたくさんあったことに対しての感謝です。「いろいろ(と)考えてみる」「いろいろ(と)ご面倒おかけしました」も、「たくさん」という数量的な概念なんです。
「さまざま」には「それぞれ異なっていること」という意味があることなんです。「さまざまな本がある」というと、本の種類・ジャンルに重きがおかれた言い方です。そのため「さまざまありがとうございます」は、どういった種類・ジャンルに対する感謝なのかということを示さないと、落ち着かないんですね。
「いろいろお世話になりました」「いろいろと楽しかった」という言い方を「さまざまお世話になりました」「さまざま楽しかった」と言うと、同じような違和感が出てくると思うのです。
日常の生活を送っているときに、いちいちその種類やジャンルを指摘しながら感謝したり感想を言ったりしません。「いろいろ」は数量を「ザックリ、たくさん」という感覚で使われるものなんです。「さまざま」は「種類・ジャンルがたくさん」という中身を言うものだと覚えておくといいと思います。だから、みかんさんの言語感覚は正しいのだと思います。「みかん」さん、違和感の源がご理解いただけましたでしょうか。
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以前「エントリーシートに絶対書いてはいけないこと」という話をしました。そこでは「いままでで一番辛かったこと」を取り上げたのですが、今回は単純に「長所」と「短所」をどう書くか、についてお話ししたいと思います。
奥ゆかしい人に取っては、長所を書くことが結構難しいですよね。大きな災害などがあった年には「寄り添う」「癒やす」というのがトレンドワードのようになって、誰もが同じことを書いてきます。
こうした例を除くと、大体「リーダーシップがある」「責任感がある」「我慢強い」などのことばが並びます。
でも、これは表層的なものですよね。スポーツ経験者なら、この三つのことばのどれかは当てはまりそうです。スポーツ経験者に限らず、だれもが使えることばなんです。これだけ書いても、面接の時に機能しません。「どうしてそう思うのですか?」という質問が必ず出ます。結局、それに答える間に時間切れになって、面接での会話が深まらないんです。
この時に必要なのが、「WHY」という問いかけです。なぜ 、リーダーシップがあると思うのか、なぜ責任感があると思うのか、なぜ我慢強いと思うのか、を自問自答して答えを出しておく必要があります。そして、それをエントリーシートに書いておくんです。そうすると、面接担当者からは、その内容について質問がくるので、一段階先に進めるということです。
聞いてほしいと思うことをエントリーシートにあらかじめ書いておけば、どんな質問が来るかがわかる。つまり、エントリーシートは、自分のテリトリーに面接担当者を誘導する役目がある、ということを頭に入れて、書けば、相手を自分の土俵に持ってこられます。そうしれば、しめたもの。会話も前に進みます。
エントリーシートや業績シートだけで完結させるのではなく、それは面接の道具だと意識しておくと、面接での心ゆとりが持てるようになります。
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先週、告知もせずお休みしてしまい、申し訳ありませんでした。体調を崩して声が出なくなってしまったため、番組をお届けできませんでした。今後こうしたことがないよう、健康管理に気をつけるようにします。どうぞ今後とも宜しくお願いいたします。
志望動機をどう書くか、はなかなか難しいのではないでしょうか。会社を何社か受けるわけだから、一つひとつの会社に同じだけの思いがあるわけではないですよね。僕は新聞社を受けました。第一志望があったとしても、同業他社会社も受けましたし、一般企業だって受けるわけです。全てを正直に話すわけにはいかない、ということを前提に志望動機を書き、面接を受けるわけです。
僕が面接を担当したなかでも、志望動機が迷走してしまった受験生がいました。最終の役員面接にあげたのですが、そこで志望動機を聞かれて、「育児制度が充実しているから」と答えたんです。ところが、明らかに役員の求める答えとはずれています。
「会社に入ってどういう仕事がしたいですか」と再度、質問を変えて聞かれたのですが「男性も出産休暇・育児休業が取れるのは素晴らしい」と答えました。
今度は違う役員が「校閲の仕事をしたいと思った理由を教えてください」と、また質問を変えて志望動機を聞いたのに、「出産休暇を取れるのは、女性だけだと思っていたのでとても素晴らしい制度だと思います」って答えたんです。これだけ助け船を出しているのに、これでは話が前に進みません。
あがっていたのかもしれません。しかし、1次・2次面接では、きちんと「新聞の信頼を高めるために、事実関係や誤字脱字などを防ぐ仕事に魅力を感じた」という内容の志望動機を話していたんです。それなのに、どうして急に育児休業の話になってしまったのか、いまだに謎なんです。
志望動機は、新卒でも途中採用でも、入社の時に一番大切なものです。ここがしっかり書けないと、面接で大きく響くんです。確かに、先程の受験生は「育児制度」についても触れていたんです。ただ、そこがメインの動機になると、採用する側としてはポイントがずれていると判断せざるを得なくなります。
質問の趣旨を考えて、答えないとドンドンずれていってしまいます。面接担当者を自分の土俵にあげるには、質問の本質を外さず、将来を語るようにしないとうまくいきません。例に出した受験者は、その手順を間違えてしまったんです。
新卒の方は、志望動機は「何をやりたいか」について、話ができるように準備するといいと思います。新卒ですぐ何かができるわけでもないので、先ずは与えられた仕事をしながら、5年先の姿をイメージしてそれを伝えることが重要です。
転職の方は、既に数年間の実績があるはずなので、そのリソースをアピールして、さらに新しい会社で何をしたいのかを具体的に説明することだと思います。
仕事の原点は、自分が楽しめるかどうかです。そのための努力は努力ではなくなります。いまできることと、将来やりたいこととの導線をしっかり描いて、面接に臨んでください。
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前回、内定をもらった時の承諾などの電話連絡について、お話ししました。今回はメールでの対応についてお話ししたいと思います。
電話もメールも基本的には、同じです。ただし、メールの場合は、返信の仕方に注意が必要だと思います。
一つは「件名」です。新規のメールにすると、採用担当者が折角の返信をなかなか探せなかったりするので、件名は「RE:」のままでいいと思います。たとえば「採用結果のご連絡_○○株式会社」 とあれば、そのまま「RE: 採用結果のご連絡_○○株式会社」としておけば問題ありません。履歴を残しておくようにします。
宛て名部分は、会社・部署名のあとに、担当者の名前。その際に、以前話したように「会社・部署名に「御中」は付けず、担当者のところに「様」をつけること。間違えないようしてください。
本文は簡潔に。時候の挨拶などは必要ありません。「○○株式会社様におかれなしては、ますますご清祥のことと存じます」などは不要です。「○○日に、貴社採用試験を受けた○○でございます。この度は、内定の連絡を頂戴し、ありがとうございます。謹んで内定をお受けいたします。一日も早く、戦力となれるよう務めてまいります。今後とも宜しくお願い申し上げます。皆さまとお会いできますことを楽しみにしております。内定ご連絡のお礼とともに、ご挨拶を申し上げます」などとします。採用側の勘違いを防ぐため、面接の日付を入れておくようにします。
さらに、確認したいことがあれば「今後の手続きなどについて、詳細をお知らせいただければ幸いです」としておけば、今後の流れもわかると思います。「今後の流れについて」という書き方をする人もいるんですが、「流れ」ってなんだ?という事にもなるので、具体的に「手続き」「入社前の準備」などと書いておいた方が担当者もわかりやすいと思います。
それから、メールアドレスは、個人のものを使うこと。転職の場合に、現在勤めている会社のアドレスを使うのはNGです。必ず個人のメルアドを使ってください。誤字脱字などがないように、必ず読み返してください。会社名や担当者の名前を間違えたら致命的です。メールを書いたらすぐ送信しないで、30分ほど置いて再度読み直すこと。これ、重要です。原稿を書いたり校閲したりした経験からのアドバイスです。
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内定をもらった時の承諾などの連絡について、考えてみたいと思います。今回は、電話の場合について、お話ししていきます。
相手から電話があったときの第一声はとても重要です。「はい、前田です」より「はい、前田でございます」という方が丁寧です。「〜でございます」は社会人として覚えておいてほしい言い方です。勤めてからも「○○会社総務部の△△でございます」と答えるのが常識です。クライアント。お客様に対する第一声で印象は変わります。
学生時代は親しい友人同士としか話をしていないので、どんなやり取りであっても特段問題にはなりません。ところが、社会に出ると、全く知らない人から様々な要件の連絡が入ります。その時に、「です」より丁寧な言い回しとして「でございます」という言い方をスムーズにできるようにしておいた方がいいと思います。
スマホなら、電話の相手がわかるので、それに応じてきちんと使い分ける練習をしておくべきでしょうね。
電話が鳴って、就職試験を受けた会社だとわかったら「○○でございます」と言って、電話に出るんです。すると「〇〇株式会社〇〇部○○です。○○さまのお電話でお間違いないでしょうか」。概ねこんな感じで、内定の連絡がくると思うんです。ほんとうは「○○さまのお電話で間違いないでしょうか」という言い方もおかしいんだけどね。確認するなら「○○さまでいらっしゃいますか?」でいいはずなのね。「電話は関係ないでしょ」と思うんですが、そこは、ひとまず置いておきます。
「選考の結果、ぜひ弊社で一緒に働いていただきたいと思い、連絡を差し上げました」とか、「選考の結果、採用させていただきたいと考えております」という様な感じで内定の連絡があります。
その後に「ありがとうございます。どうぞ宜しくお願いいたします」とか「ありがとうございます。一日も早く貢献できるよう努めますので、宜しくお願いいたします」などのように答えれば、いいですよね。問題は、内定を保留する場合です。これは、ちょっと難しいでしょ。
第一志望ではない場合もあると思うんです。転職の場合は、「退職時期について冗長とも相談をしたうえで正式な返答をしたいので、〇日ほどお時間を頂戴できないでしょうか」と答えればいいと思います。ただし、採用側は他社の採用状況を待っているんだな、とわかるので、不利に働く場合もあります。以前、転職の人に内定の連絡をしたら「入社を半年待ってほしい」と言われたんです。どうも、失業給付をもらってからという事だということがわかって、その時は「時期が合わないので」とお断りしたことがあります。
新卒の場合は、「一つ結果を待っている企業があります。その結果を待ってから正式に返事を差し上げてもよろしいでしょうか」と正直に答えればいいと思います。そこで、嫌みを言うようなら、見切りを付けてもいいと思います。将来を左右することなので、自分の意思は通すべきだというのが僕の考えです。だって、会社の都合で急に内定を取り消される場合もあるのだから、そこは対等でいいと思います。
内定承諾書にサインをしたあとも辞退できますが、その場合は、早めに連絡する方がいい。入社日ギリギリになると、迷惑をかけます。その時は、直接担当者に辞退を伝える様にしていください。断ることと謝ることは、社会人の大切な仕事ですから。
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前回、前々回に亘り「御」について、話をしてきました。きょうは、もう一つ「御中」について、お話ししたいと思います。メールや手紙を出すときに、宛て名の後に付ける「御中」や「様」の使い分けは、さほど迷わないかもしれませんね。
会社、組織に宛ててメールや手紙を出すときには「御中」。人に宛てて出す時には「様」です。「御中」はもともと明治時代以前に、脇付として使われていた「人々御中(ひとびとおんなか)」の「人々」が省略された形です。
「様」と「御中」を一緒に使うのは、いただけないので注意が必要です。たとえば「未來交創株式会社人事部 御中 前田安正様」は、NGです。「未來交創株式会社人事部 御中」もしくは「未來交創株式会社人事部 前田安正 様」とすべきです。
会社・組織と人名の両方を書くときには、名前の部分に「様」を付けます。会社・組織に「御中」を付けてはいけません。
人名の後に「様」と「殿」のどちらを付ければいいのか、にも迷うことがあるのではないでしょうか。「殿」は元々、お屋敷を指していたんです。お屋敷に住んでいる人は、地元の大物です。例えば大河ドラマにもなった「鎌倉殿」のように。直接名前を呼ぶのが失礼なので、大きな屋敷を名前の代わりにしていたんです。
その「殿」が敬称になって名前にも付くようになったんです。ところが、平安時代に「殿」の敬意が落ちてきて、室町時代に「殿」より丁寧な言い方として「様」が使われるようになったのです。「様」は人の居場所、身分、氏名について敬意を表したので、官職には使わなかったんです。敬意の高さでいうと「様」「公」「殿」の順になるんです。
江戸時代になると「様」が盛んに使われるようになって、ややカジュアルな感じで「さん」も増えてきました。「殿」のカジュアルな感じが「どん」です。奉公人に親しみを込めた言い方が丁稚どん、「西郷どん」の「どん」は、敬意を表す方言です。
最近、初めてのメールに「さん」付で来る場合があるんだけれど、ここは「様」にすべきでしょうね。「殿」は公文書などで使われる敬称で、下位の人にしか使わないのが一般的です。
医師に病院を紹介してもらうときに相手の医師に対し「○○先生机下」「○○先生御机下」「○○先生御侍史」などという書き方をします。「机下」は机の下や足元にそっと置きます、という意味。御侍史の侍史は、貴人のそばに控えている書記の意味で、直接渡すのは失礼なので、配下の方から取り次いでもらう、という意味になるのです。
ちょっと、行き過ぎのような気もしますが、これは、医療関係の慣習のようなもので、一般的には使わないかもしれません。
実は、こうした話が、ぱる出版から出した『ほめ本』に載っています。よろしければ、お読みください。
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「御社」という言い方が、 相手の会社を敬っていうことばだということは、ご存じだと思うのです。同様の意味で「貴社」という言い方もあります。
辞書を引くと御社も貴社も「相手方の神社や会社を敬う」ことで、同じ意味です。でも、使い分けがあるようなんです。御社が話しことばのときで、貴社が書きことばのときだというんです。この違い、ご存じでしたか?
僕が入社試験を受けたころには、御社は使わなかったように思うんです。それで「御社」がいつから使われるようになったのかを調べてみました。大辞泉という辞書には、1990年代の始めころからと書いてありました。貴社は、同音の言葉が多いので、紛らわしいので、御社が、主に話し言葉において使われ始めたというんです。
確かに同音のことばが多いかもしれません。「記者が汽車で帰社した」という早口ことばもありましたもんね。この場合の「記者」は新聞記者の記者、「汽車」は蒸気で走る、いわゆるSLのこと、「帰社した」は、出先から会社に戻ることです。紛らわしいと言えば紛らわしいかもしれません。
話しことばでは、聞き間違いがないようにする、という配慮は必要です。だからと言って、話しことばに「貴社」を使ってはいけないわけではありません。ただ、中には、話しをしているときに「貴社を使うとは何事だ」と思う面接担当者もいるかもしれないので、いまの時流に乗ることも必要ですね。僕自身はメールでは「御社」を使わないようにしています。
ちなみに、銀行の場合は「御行」「貴行」、信用金庫=「御庫(御金庫)」「貴庫(貴金庫)」です。学校・学校法人=「御校」「貴校」、学校名が○○学園の場合は「御学園」「貴学園」だし、○○学院の場合は「御学院」「貴学院」としてもいいでしょうね。基本的に、頭に「御」「貴」をつければいいのですが、市役所、区役所の場合は「御庁」「貴庁」という言い方をします。
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敬語って難しいですよね。僕も得意ではありません。間違って使ったことはないと思うのですが、完璧か、と言われると自信はありません。きょうは敬語の時に、ことばの最初に「お」をつけるのか「ご」をつけるのか、について考えていきたいと思います。
「ご」も「お」も漢字で書くと「御」です。「ご」は、おもに漢語の名詞などに付いて、尊敬の意を表します。「ご意見を尊重します」「ご両親」「ご家庭のみなさま」といった類いです。
動作を表す漢語にも付きます。人の行為に対する尊敬の意を表す。「ご帰国なさる」「ご説明くださる」といった使い方です。「ご案内申しあげる」「ご招待いたします」「ご紹介する」の場合は、相手を敬って、自分の行為をへりくだっていう言い方です。漢語の名詞に付いて,丁寧・上品にいう場合もあります。「ご飯」「ご馳走」がそうです。
「お」は、おもに和語の名詞などについて、敬意を表します。名詞に付くと敬意だけではなく、相手のもの、相手に関するものであることを表すします。「あの方のお帽子」「お子様」などです。「お茶」「おしるこ」などは、丁寧な言い方です。
「なさる」「になる」「遊ばす」「くださる」「いただく」「だ」などの語がついて、その動作の主に対する敬意を表します。「なさる」だと「おいでなさる」、「になる」は「お世話になる」、「あそばす」だと「お読みあそばす」、「くださる」だと「お書きくださる」、「いただく」だと「お越しいただく」、「だ」の場合は「社長がお呼びだ」なんて具合です。
お客さんにお茶などを出して「お飲みください」っていうでしょ。まあ、間違いではないかもしれないけれど「どうぞ、おあがりください」って言うと、ちょっとできるな、と思われるかもしれません。「あがる」は「飲む」「食べる」の尊敬語です。
漢語と和語という言い方が難しければ、漢語が音読み、和語が訓読みだと思っているとまあまあ、間違いはないと思う。原則として音読みの前には「ご」、訓読みの前には「お」がつくと覚えておくといいと思います。
とはいえ、何にでも例外はあるから注意してください。「もっとも」「ゆっくり」などは和語、訓読みですが、「おもっとも」「おゆっくり」とは言わず「ごもっとも」「ごゆっくり」となります。漢語、音読みでも「お掃除」「お洗濯」「お散歩」となります。この場合は、美化語の類いです。
メールや面接で敬語を間違えると、社会人としての常識を疑われるから、気をつけるようにしましょう。脇を固めておくことは大切ですから。
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メールの書き方って気になりませんか? 初めてのメールなのに、自分の名前をフルネームで書いてこない人が結構いるんです。しかも、署名部分も名字だけだとなると、返信のときに、相手の名前をフルネームで書けないので困ることがあります。
以前、メールを頂戴した方に直接連絡を取る必要があって、電話をしたことがあります。そうしたら、同姓の人が何人かいたらしく、フルネームがわからないので相手が見付からないということがありました。電話口で対応してくれた方も戸惑っていました。
毎日、何通かメールが届くのですが、ほとんどがメールの初めに「いつもお世話になっております。○○会社の××です」って書いてあるんです。会社名とか所属部署は書いているのに、名前がフルネームじゃない。これってどういう意識なんだろうって考えてしまいます。
採用面接の挨拶’でも「○○大学の××です」って、名字だけのことが多いんです。もっとも、エントリーシートを手元で見ながら面接しているから、フルネームは必要ないといえばそうなんですが、それだと、出身校も名乗る必要はないということにもなりまし。最初の挨拶としては、きちんとフルネームで伝えるべきだと思うんです。
新卒の面接では仕方ない部分もあると思うのですが、「○○会社の××です」という言い方は、ちょっと気になります。完全に組織の付属物のように感じてしまうのです。英語だと「I am Maeda form ○○」って紹介します。それをそのまま当てはめると、「消防署の方から来ました」っていう感じになるので、怪しさがでてくるだけれど・・・。
ただ、フルネームを伝えないというのは、個人として存在することが難しい社会なのかな、と思ったりするのです。組織の中にいても、個人として立てるような社会になるといいのになあ、と思うんです。一気にこの状況を打破できるとは思わないのですが、フルネームを伝えるという意識を持てれば、少しずつ変わっていくのではないかな、と思うのです。
メールの書き出しは、フルネームにすることから始めませんか?
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スポーツ選手には筋肉が必要です。大谷選手もそうですよね。ところが、筋肉はつければいいというものではないんです。パフォーマンスを出すためにきちんと使いこなせるものでないと、かえって体を痛める原因になってしまう。実は、ことばも同じで、使いこなせないと、とんでもないミスを犯すことにもなりかねないんです。
業績シートをメールで送って来た人が、最後に「宜しくご拝受ください」って書いてきた例があります。ええ??って、我が目を疑ったことがあります。
「拝受」は、受け取った側がその返事のときに使うもので、送る側が使うものではないんです。「拝受」の「拝」は、本来「ひざまずいてぬかずく礼」「組んだ両手を挙げて上体を曲げる礼」のことです。だから、敬意表すべき人に関わる自分の動作や行為の前につけて謙譲の意を表すことです。つまり「謹んで」という意味なんです。だから「宜しくご拝受ください」というのは、「ご」が尊敬語で「拝受」が謙譲語というふうにねじれているのです。
「拝受」ということばを知っていても、どういう場面で使うのかがわからないと言葉が機能しないし、常識を疑われてしまいます。業績シートにどんないいことが書かれていても、素直にキャリアを認めてもらえないリスクを抱えてしまいます。
冒頭に言ったように、使いこなせない筋肉をいくら身にまとっても仕方がありません。言葉も使いこなせて、はじめて、言葉として機能します。
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ことばって雰囲気で使っていることの方が多いすよね。「雰囲気」も「ふいんき」っていう人も多いそうです。私の母は、「ブランド」のことを「ブラインド」と言い間違えていたし、「雲泥の差」をなぜか「うんぜいのさ」って言っていました。
言い間違えの類いは、日常会話なら笑っていられるのですが、就職や転職の場では。とんでもないことになる場合があります。ある人事担当者から、メールに書類を添付して提出してきた受験生が「宜しくご査収ください」と書くところを「宜しくご査証ください」って書いてきて驚いた、という話を聞いたことがあります。「査証は、VISAのことなのにねえ」って言うんです。
「査収」は「金品・書類などを調べて受け取る」という意味です。「査証」は「調べて証明すること」です。「査」は「調べる」という意味があります。査収も査証も「調べる」という点では一致しています。「考査」は「調査して検討する」こと。つまり、「試験」という意味です。「捜査」は「「まさに調べること」です。
ことばって周辺の言語環境に影響されるんです。その地方独自に流通することばを「方言」と言うんですが、これは「会社・組織」「仲間」の間のみで通用する単語や言い回しも含めて、「方言」と言っていいと思うんです。
そこで使われることばを、いちいち辞書で確認することはないでしょ?だから、いったん覚えると共通言語になって、それっぽい状況で使ったりするんですね。
せめて、就職や転職のときくらいは、いい感じのことばを使うときには辞書を引いた方がいいと思います。「査収」を「査証」と間違えると常識を疑われることにもなるので、注意しましょう。
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最近、「〜だと思っていて・・・」という表現が気になります。「思っています」と言いきらないのでスッキリしないし、「思っていて」の後に、長々と理由や言い訳めいた話を続けるんです。これは、どういう話の構造なのだろうと気になります。
「思います」というのは、いろいろな使い方がありますが、「〜と思う」という形で、話し手の個人的な判断や推量であることを示すものです。たとえば「その判断は正しいと思う」「明日は晴れると思う」というように、そこで文がいったん終わるはずなんです。ところが、「〜だと思っていて・・・」は、終わらないんです。
面接で「その判断は正しいと思っていて・・・」と言われると、それが正しいという判断をしながら、その反論を言おうとしているのか、正しいとした判断の補足を言おうと思っているのかが、わからないんです。結論が出ているのか出ていないのかがわからない。つまり、自信がないんだな、と受け止められてしまいます。さらに言うと、話が長い、もっと端的に話してください、という印象になってしまいます。
自分の意見を伝えるときには、はっきりと主張しなければなりません。英語の授業の時に「I think」を文末に言ったら、それは自信のない人との言い方なので、やめた方がいいと注意されたことがあります。堂々と「I think〜」と文の最初につけて話しなさいって言うんです。「と思っていて」は、それに似た感覚のようなのだと思います。
面接は、ことばで自分をプレゼンする場です。そこでは、言うべきところは、はっきりと伝える、と言うのが基本です。相手の顔色を窺いながらおどおどと話していても、気持ちは通じません。ことばの最後はしっかり言い切るように心掛けましょう。
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番組リニューアル後、早速、お便りを頂戴しました。常連のつみたて兄さんからです。いつもありがとうございます。テレビの食レポなどを見ていると、「早速、いただいてみたいと思います」という表現をよく聞くのだけれど、今すぐ食べるのだから「思います」というのは、おかしいのではないか、という内容です。
つみたて兄さんは、企業の採用担当にも関わることがあるそうで、面接やエントリーシートの内容を見ていて、ことばの使い方について、度々気になってきたとのこと。細かなところだけれど、もうちょっと配慮すれば印象が変わるのに、もったいないなぁ、と思ってきたのだそうです。
「早速、頂いてみたいと思います」に対する違和感のポイントの一つは、「みたい」の「たい」だと思うのです。「たい」というのは助動詞で、「面白い本が読みたい」「旅行に行きたい」というように「話し手の希望」を表すんです。
「食べたいなら食べればいい」「勉強がしたくてもできない人がいる」となると「話して以外の人の希望」を表します。「ある」「である」などについて、他に対する願望を表す場合もあります。「〜してほしい」「〜であってほしい」という意味です。「健康でありたい」「犯罪のない町でありたい」とかいう具合です。
少し先の未来をいうのが願望です。ですから「今すぐ行動する」のとでは時間軸が違うんです。その違和感だと思うんです。もう一つが「思う」です。これも「希望する」ことを言うので、「〜してみたいと思います」は「希望」を表すキーワードが二つ重なっているんです。それで、ますます時間のズレが起こるんです。
面接などで「あなたはこの会社で何をしたいですか?」と聞かれれば「広報の仕事をしてみたいと思います」というのは、OKです。これは、将来の希望だからです。
特定の役割を言わずに「何でもやりたいと思います」というと、受け身のスタンスだと思われます。この場合は「何でもやります」と言いきった方がいい。しかし、ある程度具体的な将来像を提示できないと、面接では弱いと思います。
一方、会社などで仕事を頼まれて「すぐ取りかかってみたいと思います」と答えるのは、「すぐ」と「みたい」「思う」との時間がずれてしまいます。「すぐ取りかかります」で十分です。今すぐ行動するのに「〜したいと思う」というのがおかしいと思うのは、時間軸のズレが生じているからなのです。
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いまどきのエントリーシートは、パソコンでつくって会社に送付するのが一般的でしょうか。
僕のころは、すべて手書きだったので、結構しんどい思いをしました。字も丁寧に書かなくちゃいけないし。
校閲の試験を受けたときは、面接担当者から「君の字は読みやすいね」と言われました。くせ字だし決して上手くはないのですけどね。
その質問の趣旨を入社後に聞いたら「校閲は乱雑な字を書くに人には向かないから」と 言われました。パソコンでエントリーシートを作成すると、字の丁寧さは測れないですね。その点、少し負担は軽くなっているのかもしれません。
それでもそこに書かれている文章となると、常識が噴き出してくるんです。
最近気になったニュースは何ですか」という質問項目に「僕的には・・・」と書いてきた受験者がいました
僕も「ことばランド」や本では、「僕」を使うことがあります。ちょっと視聴者や読者に親しい感じを持ってもらいたいと思うからです。それでも、正式な場では「僕は」は使いません。
もう一つ「僕的には」の「的」の使い方なんです。「僕的には」は「私としては」「私の意見としては」という意味だと思うんです。「的」を辞書で見てみると、主に物や人を表す名詞に付いて、それそのものではないが、それに似た性質をもっていることを表すんです。「百科事典的な知識」といった具合に使います。
もう一つが、「ある観点や側面から見て」という意味を表すときに使われます。「学問的に間違っている」「事務的な配慮」っていう具合です。元々「的」は、中国の宋・元時代の俗語で、「の」の意味を表す助辞だったのです。明治以降、英語の -ticを有する形容詞の訳語に用いたことに始まる用法なんです automaticを「自動的に」と訳すような感じです。
つまり、「僕的」は、どちらにも当てはまらない俗用なのです。
俗用を使うことが悪いのではなく、公式の場に俗用を使う、あるいはそれが俗用であることを知らない、というのが問題なんです。つまり「常識がないな」と思われてしまうということです。知っていることばでも辞書を引いて確認することはとても重要なのです。ことばの常識は、未来の扉を開いてくれますから。
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100回を超えたポッドキャストことばランドは、今回からシーズン2に入ります。オープニングも変わりました。「ことばで未来の扉をひらく」をコンセプトに、ことばから就職や転職、人事を考えていきます。
シーズン1では、ことばの変遷などを眺めながら、その時代や社会のなかで生きていることばなどについて、ちょっとした蘊蓄や感想などをお伝えしてきました。いわば、ことばの教養についてのお話でした。今回から、実際の生活に役に立つ実用的なことばを取り上げていこうと思っています。
先日、100回を記念して、スタッフ3人で小籠包を食べにいきました。そのときに、「もう少し、実践で役立つものにしてもいいかな」という話をしたんです。そうしたら、その2日後に知り合いから「エントリーシートが書けないで困っているという方がいるから相談に乗ってもらえないか」という話がきました。嘘みたいな話なんですが、時々そういう偶然が訪れることがあるんですねえ。だったら、いま就職活動とか転職を考えている人向けにお話ししようかな、と思い立ったわけです。
実は、10万部超の『マジ文章書けないんだけど』(大和書房)は、エントリーシートの書き方をベースに、自分が伝えるべきことを文章にする、つまり自己プレゼンテーションのつくり方の本でした。
新聞社にいたころは、校閲採用の担当もしていました。1人ないしは、2、3人の採用に、100人を超える応募があって、その全てのエントリーシートを、部長の僕と部長代理の二人がそれぞれ読んで、書類選考するんです。朝から別室に缶詰めになって3日ほどかかる作業です。その結果を突き合わせると、評価が大体一致するんです。
そんな経験も踏まえて、エントリーシートの書き方や面接対応などについて、ことばから考えていきたいと思います。ということで、今回はエントリーシート(ES)に絶対書いてはいけないことについて、お話しします。
長所や短所などを各欄があると思うんです。そこに「これまでで一番辛かったことは何か」という欄があったとします。就活生だと大体「浪人してしまった」「部活で失敗してしまった」という内容が多いんです。ところが、絶対書いてはいけないのは、面接担当が質問できないような内容です。
たとえば、付き合っていた人からDVを受けたというような、あまりにもプライベートに踏み込みすぎる内容についてです。面接で何を聞けばいいのか、面接委員も戸惑ってしまいます。
警察は呼んだのかとか、その後どうなったのかなどなど、不安が頭をよぎりますが、これは就職での面接とは趣旨が異なります。
やはり、プライベートに踏み込みすぎるエピソードは、避けておくべきだと思うのです。
◇◇
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また、ApplePodcastやSpotifyでお聴きの方は、評価やレビューを書いていただけると嬉しいです。皆さんの評価で多くの人にお聴きいただけるようになります。どうぞ宜しくお願いします。
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◇◇◇
「ことばランド」では、取り上げてほしい「ことばの疑問」や感想をお待ちしています。お便りフォームからお願いします。
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