Folgen
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キャンバの定義、英語版ウィキペディアの airfoil の記事がよさそう 翼型の中心線 (mean line): 前縁から後縁まで、上面(背面)と下面(腹面)を等分割(たとえば100等分)し、上下方向の各点を結ぶ。それぞれの中点を繋いだものが中心線 (mean camber line, mean line, or camber line)。間違って centerline と何度か言ってしまった… キャンバ (camber): おおまかには、ある翼型(翼断面)について、その「反り具合」あるいは「凸凹具合」と思えばよい。具体的には「翼弦線 (chord line) から中心線までの垂線の長 さ」。あるいはもっとわかりやすく言うなら、まず翼弦線(前縁と後縁)を水平になるように翼型を回転して、その状態での「翼弦線(=水平線)から中心線までの高さ」でも同じこと。 ただし、単位付きの長さだと不便なので(巨大な翼型なら、わずかな反りでも巨大なキャンバになってしまう)、これを翼弦長で割ったものをキャンバとすることが多い。ただし、翼弦方向にどの位置を取るかは任意性があるため、複数の定義がある。代表的なのは「最大キャンバ」と「翼弦の特定位置でのキャンバ」。前者はそのまま、最大のキャンバで、この場合は翼弦のどの位置で最大キャンバが生じているかも記載することが望ましい。後者はたとえば「1/4翼弦長位置」や「1/2翼弦長位置」などがありえて、一般にはこの位置のキャンバは最大ではないが、変動する場合の定点観測として用いる。 今回の論文: Bats actively modulate membrane compliance to control camber and reduce drag Open Access なので誰でも読める。直訳すると「コウモリは能動的に飛膜の柔軟性を変動させてキャンバを制御し抗力を低減している」くらいか。Inside JEB という紹介記事も出てるけど、論文自体がコンパクトにまとまっているので読む必要はあんまりないかも… 3羽のオスの成体の Jamaican fruit bats… ジャマイカフルーツコウモリ?を使用。体重50グラム程度。Brown大学の風洞で飛行させた。まず、無風状態と 5 m/s の向かい風の中で飛ばしたあと、ボツリヌストキシンA (BtxA) で翼面内の一部の筋肉をマヒさせて、再度同じ2つの風速で飛行させた。いずれにおいても、通常の風洞実験と異なり、コウモリは空間的に止まっていなくて、前進していったようだ。結果を見ると、対気速度(相対風速)は無風時に 3 m/s 程度、向かい風ありで 6-7 m/s 程度となっている。 高速度カメラ6台を800 fps (frames per second) で、翼の上面が見えるように撮影。Phanto Miro 340 を4台と Photron FASTCAM SA4 を2台使っている。他社のカメラを混ぜると同期などで苦労するので大変だったろうなぁ感がにじむ。 Fig. 1A: 翼をザックリと2つにわけている。手首関節より付け根側を armwing・手首関節より先が handwing と呼んでいる。これは鳥でも同じ。翼の3ヶ所(ひじ・手首・小指のMP関節)につけたマーカ(黄色の円…実際には白い塗料)を撮影して運動計測。また紫の線たちは後に BtxA でマヒさせる plagiopatagiales という armwing の筋肉の位置。 Fig. 1B: 同時に、Agisoft PhotoScan Pro(現 MetaShape)で photogrammetry により翼上面を点群 (point cloud) に3次元再構築している。そのうち、羽ばたきの打ち下ろし中期 (mid-downstroke) において、小指の骨(=ほぼ翼弦方向)に平行な線を含むような垂直断面を2ヶ所、armwingとhandwingにおいて1ヶ所ずつ選び、それらの位置での翼型を抽出。これが緑の曲線。 Fig. 1C: それぞれの翼型について、最大キャンバを計算。翼弦長で割って、翼弦長に対する%で表示している。同時に、迎え角の定義も示されている。++とSSは骨の位置らしい。 Fig. 1D: 飛行速度(相対風速)に応じたキャンバの変化を示すプロット。ざっくり低速(右)ほどキャンバが大きい。まず i と ii は armwing と handwing. 縦軸は最大キャンバ。横軸は相対風速の速度(上の軸)あるいは速度から計算した動圧、の逆数(下の軸)。青の円(点)は control で、赤の円は BtxA で筋肉を麻痺させた場合。注意すべきは横軸はなぜか普通と反転してあり、右に行くほど「遅い」ということ。なので、青の左が高速(向かい風あり)・右が低速(無風)。赤は高速のみ示しており、これは低速(無風)では飛べなくなってしまったから。また赤は 1 m/s ほど遅くなっている。そのため解析上は「高速の青から高速の赤への変化」を直接計算するのではなく、まずは control(青)の2群を使って「速度に対するキャンバや運動パラメタの変化を示す線形モデル」を作り、その直線上に BtxA(赤)が乗るのか、ずれるのか、というのを見ている。Fig. 2: 横軸と青丸・赤丸は Fig. 1D と同様。縦軸は変わっているので以下に示す。 Fig. 2A: 縦軸は羽ばたき振幅 (wingbeat amplitude) で単位は度 (degrees). BtxA では振幅が増えている。 Fig. 2B: 縦軸は打ち下ろし角度 (downstroke angle) で単位は度。胴体座標系で考えるなら、打ち下ろしだけ使った羽ばたき面角度 (stroke plane angle, SPA) ということで、0度なら水平・90度なら垂直に羽ばたいている、ということ。基本的にはホバリングで0度に近く、高速だと90度に近くなっていく。BtxA (赤丸)ではこれも増えている、つまり、羽ばたき面がより垂直に近くなっている。 Fig. 2C: 左右2つのパネルがあり、縦軸は迎え角 (angle of attack, AOA) で単位は度。左パネルは armwing で右パネルは handwing. これは BtxA しても変わってない。要するに前縁・後縁の位置はマヒの影響をうけておらず、キャンバだけをうまいことマヒで変えられたんだろうなぁ…うまいなぁ… Fig. 3: 打ち下ろし中期における armwing の翼型(中心線)。比較のために、縦軸だけでなく横軸も翼弦長で割って無次元化してある。A は低速 control, B は高速 control, C は botox 処理時で、細い線が各データ。D はこれらの平均(太線)とSEM(影)。比較すべきは、fast control(グレー)に対して BtxA(赤)がどう変化したかで、特に前縁寄りの位置で上に凸のキャンバが増していて、slow control(黒)に近づいていることがわかる。逆に言うと、マヒしていない通常時、高速では筋肉を制御してキャンバを減らして飛んでいる、ということが推測される。 結果をまとめると、マヒによって 1) 飛行速度が低下したまたは無風だと飛べなくなった 2) armwing のキャンバが増大した→おそらく抗力増大してる 3) 羽ばたき運動が変わった→抗力増大に対抗して推力を増やす方向性(振幅増・SPA増)なぜか羽ばたき周波数とAoAは増やしてない 低速で飛べないのはなぜ?キャンバ増えたほうがいいのでは?→パワが足りないのかも 進化的な意義は?→armwing 使えないだけで飛べなくなるくらいなので翼面内の筋肉は進化において重要だろう。コウモリだけでなく飛翔性哺乳類全体でそうかも。
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字数制限のため簡易版show notes. フル版はブログに。
航空機 軽航空機=気球・飛行船 重航空機=固定翼機(グライダーと飛行機)・回転翼機(オートジャイロとヘリコプタ) 熱気球初飛行は1783年 揚力 羽ばたき機 ドローン=無人航空機。英語の drone はミツバチのオス 飛行機の力のつりあい 飛行機各部の名称:機体と推進装置に分かれ、機体は主翼・胴体・尾翼(水平尾翼 ・垂直尾翼)・降着装置など 動翼: エルロン・エレベータ・ラダー 操縦桿 高揚力装置 スポイラ ウィングレット 鳥の翼長 アスペクト比 翼平面形 高翼・中翼・低翼 Harvey et al., 2022 -
Fehlende Folgen?
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動物飛行 (animal flight) の位置づけ的な話。より正確には植物などの飛行も守備範囲なわけだが… 羽ばたき飛行 (flapping flight, powered flight) をする(した)動物のグループ: 昆虫・翼竜・鳥・コウモリ (insects, pterosaurs, birds, bats) 流体 (fluid) とは: 気体 (gas) & 液体 (liquid)、とくに生物では空気と水が重要 流体力学の研究方法: 数式・実験・数値計算 (CFD, computational fluid dynamics)…「差分」は「離散化」を言い間違えた 風洞 (wind tunnel) 外部流れと内部流れ (external flow, internal flow) マッハ数 (Mach number): 英語ではマックナンバと読む シャコパンチでの流体力学の考慮の一例 (McHenry et al., 2012) 急降下してるハヤブサの速度: 古いけど Tucker (1998) を見ると推測値ぽいけど時速でいうと 500-630 km/h くらいではないかってありますね…本当ならマッハ数 0.5 近くて圧縮性の影響多少入ってくるかもしれないレベル… 翼(つばさ・よく wing)・羽(←あいまい)・羽根 (feather)・翅(昆虫の... insect wing) 相対風 (relative flow) 迎え角 (angle of attack, AoA): 迎角とも。数式では α で書くことが多い。英語の略称の AoA(エーオーエー)と読むことも多い。日本語だと「むかえかく」と「げいかく」があるが、「げいかく」は「ぎょうかく(仰角)」と紛らわしいので自分は敢えて避けている。実際、ネット情報だと間違って仰角と書いている人も多い 揚力・抗力 (lift, drag): 数式では揚力は L, 抗力は D と書く。抗力はいわゆる「抵抗」と同じもの。計測方法とか分類とかの話は飛ばした 揚力係数・抗力係数 (lift coefficient, drag coefficient): 揚力・抗力を無次元化したもの。あるいは、揚力・抗力を計算する上でのパラメタ(翼型や迎え角、Reynolds数などの関数。ここちょっと言葉足りてなかった)。数式では CL, CD と書く。CL = L/(0.5 ρ U2 S), CD = D/(0.5 ρ U2 S) ここで ρ は流体の密度・U は流速・S は翼面積。車の場合はたぶん S は前面投影面積?表面積を使う流儀・業界もある(潜水艦とか魚とかの方面?)。 揚抗比 (lift-to-drag ratio): 効率性の指標としては他に「空気力学的パワー/機械的(入力)パワー」などもある Reynolds 数 (Reynolds number): 数式ではReと書くことが多い。Rと書く人もいるが、生物飛行業界ではRは翼や翅1枚の長さを表すことが多いので、避ける。Re = U L/ν ここで U は代表速度・L は代表長さ・ν(ニュー)は動粘性係数(動粘度とも)。100万いかないと思うと言ったけどそれこそハヤブサの急降下とかなら行ってそう… 代表速度: ホバリングだと前から入ってくる風がないので、翼端の移動速度を羽ばたき1周期で平均した値を用いたりする。 翼弦(よくげん chord): 翼の前縁(ぜんえん)と後縁(こうえん)の距離 層流 (laminar flow) と乱流 (turbulent flow) 境界層 (boundary layer) こぼれてたもの: 翼型(翼断面)・翼平面形(後退角含む)・上反角/下反角・高揚力装置などなど…。実験でReを合わせるために空気密度を変えたり、水や鉱物油を使う(動粘性係数の方を変える)こともあるよ、という話もし忘れた。
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前半:羽ばたき翼における非定常空気力発生メカニズムとして有名な前縁渦 (leading-edge vortex, LEV) を発見した論文の紹介。 後半: maz というニックネームの由来;好きな航空機のジャンル;降着装置 (landing gear) について。 論文:Ellington, C. P., van den Berg, C., Willmott, A. P. and Thomas, A. L. R. (1996). Leading-edge vortices in insect flight. Nature 384, 626–630. DOI: 10.1038/384626a0 ブログ記事
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とりあえず始めてみました。淡々と論文を紹介していく…かも。初回ですがゴチャゴチャした前置きなしに
KleinHeerenbrink, M., France, L. A., Brighton, C. H. and Taylor, G. K. (2022). Optimization of avian perching manoeuvres. Nature 607, 91–96. DOI: 10.1038/s41586-022-04861-4 (←論文へのリンク。open access)の紹介をしました。
補足や感想などはブログ記事にもすこし書きました:
https://dynamicsoar.hatenablog.com/entry/2022/07/31/073902初歩の空気力学・飛行力学の知識を暗黙に仮定してしまった気がするので、researchat で話した自己紹介(下記)も参考になるかもしれません
https://researchat.fm/episode/133